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砂漠あり、ステップあり、高山あり、湖沼ありと、カザフスタン東南部は限られた範囲の中にそれぞれ異なった環境があり、それぞれに特色のある鳥が棲んでいて、それゆえバラエティー豊かで、またモンゴルでもルーマニアでも見られない中央アジア特産の固有種もいる。朝焼けに染まる山並み、砂漠に沈む夕陽、昇る満月、残雪を頂く山々や高嶺に咲く色とりどりの可憐な花々など、とても印象的な旅でした。
■2008年5月17日
アルマティのホテル前の公園でツアー最初の早朝探鳥。クロウタドリやカバイロハッカ、ノドジロムシクイなど。朝食後、鳥ガイドのアナトリー・コブシャー博士と合流。簡単な打ち合わせのあと、早速アルマティ東のバルトガイ方面に向かう。プロフェッサーから、町の成り立ちなど詳しく聞きながら都心部を通り過ぎ郊外に出ると、ヒメオオモズやニシブッポウソウ、チャキンチョウが多い。ヨーロッパハチクイを見つけたので車を止めると、セグロサバクヒタキやイナバヒタキ、ニシコウライウグイス、山の端にはクロハゲワシも。

チャキンチョウ |

バライロムクドリ |
チリック付近の平原で昼食。無数のバライロムクドリが、右へ左へ果ては頭上までも飛び交い、かなたの丘にはイヌワシも舞っている。昼食後、コクペックの峠に中央アジア特産のハイガシラホオジロを探す。声はすれどもの状況下、やっと見つけたきれいな雄は、 灰色と黒と茶色の配色も鮮やかなファンタスティックなホオジロ。他にズアオホオジロに似たイワバホオジロやニシオオノスリなど。チャリン渓谷の雄大な景色を楽しんだあと、今夜のお宿バルトガイ湖畔のキャンプに向かう。途中、電柱にソウゲンワシの成鳥や幼鳥、コキンメフクロウと思われる小型フクロウなど。キャンプ地周辺では、ムネアカヒワやアカツクシガモなども。(バルトガイ湖畔泊)
■2008年5月18日
快晴。朝日が湖畔の山並みを赤く染めていく。朝飯前の早探ではアカオモズ(phoenicuroides)。イナバヒタキがやたら多い。朝食もそこそこにサケイを見にキャンプを出発。鑽井から程近い場所で待つ。クロハラサケイ(左写真)が 入れ替わり立ち代り現れるも、お目当てのサケイは出ず。その間、綺麗なヒメハイイロチュウヒの♂が目の前を通り過ぎていく。それでも強風の中粘った甲斐あって、翼下面が白いサケイの飛翔は見ることができた。他にカンムリヒバリや、最近ヒメウタイムシクイから分離されたアラビアウタイムシクイなど。昼食場所ではシラガツリスガラが巣の製作中。上空をノスリ(Steppe Buzzard) が通過。近くの水場ではツメナガセキレイやウスイロショウドウツバメ、ニシイワツバメなど。アルマティへの帰路、アネハヅルやタカサゴモズ、ゴシキヒワ、アオカワラヒワなど。白銀のザイリスキー・アラタウの山並みが印象的でした。(アルマティ泊)
■2008年5月19日
ホテル前の例の公園で早探。チゴハヤブサのペアがカササギにちょっかいを出され、けたたましい声で鳴いている。今日はいよいよタウカム砂漠に向かう日だ。キルギス共和国の首都ビシュケクにつながる高速道路を西に進む。途中の休憩場所でワライバトやシラコバトなど。北に進路をとる。上空にワシタカ発見!シロエリハゲワシとクロハゲワシだ。トイレ休憩を兼ねて小さな池のそばに車を止める。きれいな♂のシマアジがいる。ヒメヨシゴイが飛び出してきた。カワセミがツィーと鳴いて葦の穂先に止まる。灌木にはムナフヒタキ。渡り途中の鳥たちにとってこの小さな池は、文字通り砂漠の中のオアシスだ。程なくタムガリの岩絵群前に到着。入り口にさびかけた看板が一枚立っているだけのいたって素朴なもので、これも世界遺産。あたりにはクビワコウテンシが盛んに囀り飛翔をおこなっている。昼食を済ませて中に入ってみる。チャキンチョウがやたら多い。岩かべのくぼみにヒガシイワゴジュウカラの巣があった。コシアカツバメのように土で作られた巣穴から、巣立ち前の若鳥だろうか、時折顔をのぞかせている。ほかにハシグロナキマシコ、バフマユと思われるムシクイ類、クロエリコウテンシなど。再び北へ向けて出発。南アフリカのカルーに似た広大な乾燥ステップを突き進む。しばらく走ってコンシェンゲルに到着。村はずれの旧バス停近くの水場には、すでにベルギー隊が大砲を並べて陣取っている。若手の鳥ガイドがプロフェッサーを表敬訪問。さすがカザフスタン鳥界の重鎮。我々は隣接する防風林に鳥を探す。タカサゴダカ、アカマシコ、オタテヤブコマドリなど。砂漠に沈む夕陽が綺麗だった。(コンシェンゲル泊)

カオジロオタテガモ |

ノウメンスズメ |
■2008年5月20日
早探でサバクフサエリショウノガンを探す。このあたりはコヒバリが多い。近くの水場ではクロハラサケイのほか、文字通り腹の白いシロハラサケイを見た人も。ほかにオオメダイチドリやオジロトウネン。今日はタウカム砂漠の北にあるイリ川の三角洲を目指す。途中故障車が立ち往生しており、砂漠の中で見捨てていくわけにも行かず、牽引してやることに。布切れをねじっただけの仮ロープなので何度も切れる。この情けが功を奏したのか、近くの池に期待してなかったカオジロオタテガモのペア。ブルーの嘴に頭のてっぺんの方に付いた眼など、ひょうきんな顔つきの珍しいカモだ。尾を立ててディスプレイしている。続いてバス停に営巣するきれいなノウメンスズメの♂もゲット。デュランガ(ポプラ)の林の中で昼食。ここでもお目当てのハジロアカゲラ、ボハラシジュウカラを難なくゲットし、警戒心の強いヒガシヒメモリバトも。帰路、トパールの湖沼でメジロガモやアカハシハジロ、セイタカシギ、ハジロクロハラアジサシなど。ルリガラの出る水辺の林に立ち寄る。梢にはチゴハヤブサが止まっている。ほどなく皆の目の前にルリガラが。日本の鳥屋さんがルリガラ、ルリガラと憧れるのもむべなるかなと思わせるほどの、水色の可愛い小鳥である。きょうはお目当ての鳥が100%ゲットできた。夕方、村はずれのいつもの水場へ。林の中にタカサゴダカ! ほかにバフマユムシクイやコノドジロムシクイなど。(コンシェンゲル泊)

コノドジロムシクイ |

バフマユムシクイ |
■2008年5月21日
今日はタウカム砂漠を離れ、一転天山山脈の一角にある天文台に向かう。キャンプ近くの水場にオオモズ、ヤツガシラなどを見てコンシェンゲルをあとにする。途中、鳥屋さんの間でWondering Tree(不思議の木)と呼ばれるポイントに立ち寄る。セアカモズのほか各種ムシクイ類の中にシベリアヨシキリ?と思われる個体もいたが、残念ながら確信が持てない。しばらく走ってソルビュラック湖に到着。バライロムクドリが湖岸の小岩や木立に群がっている。ニシハイイロペリカンが飛び立っていく。キアシセグロカモメやアカツクシガモの親子なども。生活排水流入のためか、においがきついので少し離れた場所で昼食後、アルマティ市内を通り過ぎ大アルマアタ渓谷の入り口へ。ここで四輪駆動車2台に乗り換えて標高2700mほどの所にある天文台を目指す。途中、カワガラスやオオルリチョウ、ヤドリギツグミなど。(天文台泊)
■2008年5月22日
朝食前の早探。ムナグロノゴマ(左)がビャクシンの木のてっぺんで囀っている。ヒゴロモマシコもペアで。ピンクや黄色、紫など色とりどりの可憐な花々がそこここに咲いており、足の踏み場に困るくらいだ。ヒマラヤセッケイの声がする方向にプロミナを合わせると、雪渓をバックに歩いているやつを発見。鳴いたり飛んだりする姿を合計5羽も見ることができた。朝食後トキハシゲリを見に大アルマアタ湖へ。ポイントへ向かう道すがら、ヤドリギツグミやヨーロッパビンズイ、ハジロクロシメなど。青灰色の頭に黒い上面、翼の白帯がシックな色合いのズアオジョウビタキも。やっと見つけたトキハシゲリは、コーラルピンクの下に曲がった嘴、パールグレーの胸と白い腹を分ける黒い帯など、珍鳥の風格を十分に漂わせている。ほかにムナジロカワガラスやベニビタイセリンなど。1号車のドライバー(通称、プーチン氏)は、ぼくらがまだ見ていないセアカジョウビタキを、ちゃっかり至近距離でデジカメに収めていた。昼食後、標高3300mほどの所にある宇宙線観測所跡(コスモスタンツァ)に向かう。当初ガスがかかっていたが、きれいに晴れてくれる。ベニハシガラスやタヒバリなど。セッケイの声がする山頂にプロミナを当てると、この種の鳥としては至近距離の位置に。胸の模様、足の色、目ん玉まではっきり見える。お目当てのシロガシラジョウビタキもペアで見られ、皆大満足の様子だった。ほかにハイイロマシコなど。(天文台泊)

シロガシラジョウビタキ |

ズアオジョウビタキ |
■2008年5月23日
早探でノドグロイワヒバリや赤いアカマシコ、ハジロクロシメのペアなどをゲット。遅い朝食の最中、プーチン氏が「ヒゲワシが飛んでるよ」と知らせに来てくれる。成鳥と思われ、黄土色の体と楔形の尾羽の格好など、プロミナで楽しませてくれた。朝食後再度コスモスタンツァへ。山腹にキバシガラスが群れている。なかなか見つからなかったウスヤマヒバリをやっとのことで発見。淡い色合いのシックな鳥で「中国の鳥」のそれよりずっと品がある。ほかにハシグロヒタキなど。昼食後は見残したセアカジョウビタキを探すも、ミナミコガラの声を聞くにとどまり、山を降りることにする。途中、ズアオジョウビタキのペアが現れ、今回の旅の最後を飾ってくれた。
●写真はいずれも伊東誠さんの撮影です.
(更新日:2008年6月25日)
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